退職金がない会社はやばい？メリット・デメリットと対策を解説

退職金制度がない会社に不安を感じる人は少なくありません。

この記事では、退職金がない会社の実態・メリットとデメリット、将来後悔しないための対策について詳しく解説します。

退職金がない会社はやばいのか

退職金がない会社はやばいのかについて以下3つを紹介します。

詳しく見ていきましょう。

退職金がないのは違法？

退職金がないこと自体は、法律違反ではありません。

労働基準法などにおいて退職金の支給は義務づけられておらず、企業が制度を導入するかどうかは任意です。

就業規則や雇用契約書に明記されていない限り、法的に退職金を出さなければならないという決まりはありません。

退職金制度の有無は企業ごとに異なるため、「退職金がない＝違法」とは限らない点に注意が必要です。

退職金なしの企業はどれくらい存在する？

退職金制度を設けていない企業は意外と多く、全体の約25〜30％にのぼるとされています。（出典：mhlw.jp）

中小企業では制度そのものを持たないケースが多く、資金繰りや人材流動性の観点からあえて導入していない企業もあります。

従業員規模が小さいほど退職金制度の普及率は低くなる傾向にあります。

退職金がない会社は珍しい存在ではなく、一定数存在しているといえます。

退職金の金額は減少傾向にある？

退職金の平均支給額は、長期的に見ると減少傾向にあります。

大卒で定年まで勤めた場合の平均退職金は1997年には2,500万円以上だったのに対し、現在では2,000万円を下回る水準まで落ち込んでいます。（出典：nomura.jp）

背景には、終身雇用制度の見直しや人件費抑制、成果主義の浸透などが影響しています。

退職金制度がある企業であっても、将来も高額な退職金を期待できるとは限らないのが現状です。

退職金制度があるのにもらえないケース

退職金制度があるのにもらえないケースは以下の通りです。

詳しく解説します。

ケース①勤続年数が短い場合

退職金制度があるのにもらえないケース1つ目は、勤続年数が短い場合です。

退職金制度があっても、勤続年数が一定に満たないと支給されないことがあります。

多くの企業では勤続3年以上などの基準を設けており、それ以前に退職すると対象外となることが一般的です。

就業規則に退職金は勤続3年以上の正社員に限ると明記されている場合、2年半で退職すると受け取れない可能性があります。

制度があるからと安心せず、条件の詳細を事前に確認しておくことが重要です。

ケース②雇用形態に問題がある場合

退職金制度があるのにもらえないケースとして、雇用形態に問題がある場合も該当します。

退職金制度は正社員のみに適用され、契約社員やパートには支給されないことがあります。

制度そのものはあっても、雇用形態によって対象外となるケースが少なくありません。

同じ業務をしていても、正社員と契約社員で退職金の有無が分かれることもあります。

雇用形態による待遇差がある企業では、自分がどの範囲に含まれるかを理解しておく必要があります。

退職金がない会社で働くメリット

退職金がない会社で働くメリットについて以下にまとめました。

詳しくみていきましょう。

メリット①毎月の給与や賞与が高めになりやすい

退職金がない会社で働くメリットとして、月々の給与やボーナスに反映されやすい点が挙げられます。

退職金を積み立てる代わりに、その分を現役時代の報酬に上乗せする企業も少なくありません。

同業種・同職種でも、退職金制度のない会社の方が手取りが高いというケースもあります。

手元の収入を重視したい人にとっては、魅力的な設計といえます。

メリット②老後資金を自主的に計画しやすい

退職金がない会社で働くもう1つのメリットは、老後資金を自分のスタイルで管理できることです。

制度に縛られず、iDeCoやNISA、積立保険などを自由に組み合わせて資産形成を進められます。

60歳以降に大きな資金が必要というより、働きながら柔軟に運用したいという価値観にもマッチします。

自分で計画を立ててお金を管理したい人には好都合な働き方といえます。

メリット③退職金受取の手続きが不要

退職金がない会社で働くメリットには、退職時の手続きが簡単になる点もあります。

通常は退職金の申請や税務処理などの書類対応が発生しますが、その手間が一切かかりません。

転職や独立時にすぐ次のステップに進みたい場合、こうした事務作業の簡略化は意外とありがたい利点です。

余計な手続きを避けたい人にとっては、負担が少なくスムーズにキャリア移行ができます。

退職金がない会社で働くデメリット

退職金がない会社で働くデメリットについて以下を紹介します。

詳しく解説します。

デメリット①老後資産を自力で用意する必要がある

退職金がない会社で働くデメリットの1つは、老後の生活資金を自分で準備しなければならないことです。

退職金がある場合は、まとまった金額を老後資金に充てることができますが、それがないと毎月の貯蓄や投資に頼ることになります。

退職金制度がある企業で働いた人が1,500万円の退職金を受け取る一方で、制度のない企業で働いていた人は0円という差が生まれるケースもあります。

自助努力に大きく依存するため、計画性と継続的な資産管理が不可欠になります。

デメリット②万が一に備える保障が少ない

退職金がない会社で働くデメリットとして、万が一の事態に備える会社からの保障が少ない点が挙げられます。

退職金制度には、在職中に不幸があった場合の遺族への支援という役割もあり、制度がないとそうした保障が受けられない可能性があります。

家族に残せる保障がないことに不安を感じる人も多く、会社の福利厚生だけで備えるのは限界があります。

自分や家族を守るためには、民間保険や別の備えが必要になります。

会社によっては死亡弔慰金が出ることも

一部の企業では、退職金制度がなくても死亡弔慰金などの独自制度を設けている場合があります。

「在職中の死亡時に基本給の◯ヶ月分を支給する」といった規定を設けている会社も存在します。

企業ごとの判断に大きく依存しており、明文化されていない場合は支給が保証されていないこともあります。

制度の有無や内容を事前に確認することが、将来的な安心につながります。

退職金なしの企業で後悔しないための対策

退職金なしの企業で後悔しないための対策について6つ紹介します。

詳しくみていきましょう。

対策①貯金を計画的に行う

退職金なしの企業で後悔しないための対策は、毎月の収入から計画的に貯金することです。

退職金が支給されない分、老後資金や急な出費に備える資金を自ら積み立てておく必要があります。

生活費の20％を先取り貯金するだけでも、10年で大きな備えになります。

無理のない範囲で積み重ねる意識が将来の安心を生みます。

対策②保険や個人年金に加入する

退職金なしの企業で後悔しないためには、公的年金だけに頼らず、民間保険や個人年金で備えることも有効です。

医療・死亡保障や老後資金に特化した商品を選ぶことで、万が一のリスクにも対応できます。

定期的に給付金が受け取れる個人年金保険に加入することで、生活の安定感が増します。

長期的な資金計画の一環として活用する価値は高いです。

対策③確定拠出年金や資産運用を活用する

退職金がない場合、将来に向けてお金を増やす手段として確定拠出年金（iDeCo）や積立NISAなどの制度を活用することも効果的です。

税制優遇があるため、効率よく資産形成できるのが魅力です。

iDeCoなら掛け金が全額所得控除されるため、節税しながら老後資金を準備できます。

貯めるだけでなく増やす視点も持つことが大切です。

対策④副収入を検討する

退職金がない企業で働く人にとって、副収入を持つことは重要な選択肢の一つです。

本業の収入だけに頼らず、スキルや趣味を活かした収入源を確保することで、資金的なゆとりが生まれます。

副業で得た収入を老後資金専用に積み立てれば、まとまった資産形成につながります。

収入の柱を増やす工夫が、将来の安心に直結します。

対策⑤退職金制度がある会社へ転職する

退職金がないことに不安を感じるなら、制度が整った会社へ転職することも現実的な対策です。

企業によっては中途採用でも退職金制度の対象となる場合があり、将来の備えを確保できます。

退職金制度ありと明記された求人を選ぶだけでも、安心材料としての価値は十分です。

制度にこだわりたい場合は、転職という選択肢も検討する価値があります。

対策⑥専門家にライフプランを相談する

退職金がない企業で働く場合、自分だけで資金計画を立てるのが不安な人は、ファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談するのも一つの手です。

専門家の視点で将来の収支や備えるべき金額を具体化することで、行動に迷いがなくなります。

現状の家計・年齢・家族構成から老後資金の必要額を算出してもらえるので、目標設定にも役立ちます。

安心して長く働くために、プロのサポートを受けるのは有効です。

退職金の有無で会社を選ぶリスク

退職金の有無で会社を選ぶリスクについて以下にまとめました。

詳しく解説します。

リスク①退職金以外の部分でミスマッチが起こる

退職金の有無で会社を選ぶリスクは、他の重要な条件を見落としてしまうことです。

給与水準・業務内容・職場環境・評価制度などが自分に合っていなければ、働き続けること自体が難しくなります。

退職金があるから転職したけど、残業が多くて体を壊してしまうこともあります。

働きやすさや成長環境なども含めて、総合的に判断することが必要です。

リスク②別の福利厚生制度を見落とす可能性がある

退職金の有無で会社を選ぶリスクは、他の有益な福利厚生制度を見落としてしまうこともあります。

育児支援、住宅手当、副業制度、研修補助など、退職金以外にも生活やキャリアに役立つ制度は多数存在します。

退職金はないけれども、育児と仕事の両立支援制度が充実している企業などは、長期的に働きやすい環境を提供しています。

退職金だけに注目せず、全体の制度内容を比較することが大切です。

リスク③制度があっても将来的に変わるかもしれない

退職金の有無で会社を選ぶリスクは、制度があっても将来的に変わるかもしれない点です。

会社の経営方針や景気動向によって、退職金制度は縮小・廃止される可能性があります。

新たに入社する人から制度が対象外となる、支給条件が厳しくなるといった変更が行われることもあり得ます。

制度の有無だけでなく、安定性や将来的な見直しのリスクも含めて企業を見極めることが必要です。

退職金にこだわらず自分に合った企業を見つけるための手順

退職金にこだわらず自分に合った企業を見つけるための手順については以下の通りです。

詳しく見ていきましょう。

手順①自己分析でキャリアプランを明確にする

退職金にこだわらず自分に合った企業を見つける手順は、まず自分自身の価値観や働き方を整理することです。

やりたい仕事、譲れない条件、将来どうなっていたいかといった視点で考えることで、企業選びに軸が生まれます。

働きやすさを重視したい・専門スキルを活かしたいなど、希望の条件が見えてくると選択肢も絞りやすくなります。

自己分析を最初に行うことで、ブレない転職活動が実現します。

手順②企業研究で退職金以外の要素も把握する

退職金にこだわらず自分に合った企業を見つけるには、企業研究で幅広い情報を得ることが重要です。

企業理念、事業内容、職場環境、福利厚生など、退職金以外の条件をチェックすることで、より現実的な判断ができます。

退職金はないけれども時短勤務制度や社内教育制度が充実している企業なら、長期的に働く上での安心材料になります。

全体像を把握することで、本当に自分に合った企業が見えてきます。

手順③自分のキャリアプランからにマッチ度を総合的に判断する

退職金にこだわらず自分に合った企業を選ぶには、キャリアプランと企業の条件がどれだけ一致しているかを見極めることが必要です。

一つの制度に過度に依存するのではなく、自分の将来像と企業が用意する環境がどこまで合致するかを考えます。

スキルを伸ばしながら管理職を目指したい人にとって、教育制度や評価体制が整っているかは重要な要素です。

制度の有無だけでなく、成長できるか・満足して働けるかで選ぶ視点を持つことがポイントです。

退職金がない会社はやばいと思う人からのよくある質問

退職金がない会社はやばいと思う人からのよくある質問をまとめました。

詳しくみていきましょう。

退職金がない会社は本当に損なの？

退職金がない会社は一概に損とは言えません。

退職金がない代わりに月給や賞与が高く設定されている場合もあり、トータルで見ればむしろ収入が多いケースもあるからです。

退職金制度のある会社よりも、年収ベースで数十万円高く設定されている企業もあります。

制度の有無よりも現役時代の待遇と将来の備えをどう組み立てるかを重視することが大切です。

退職金がない会社の場合に老後の資金はどうやって準備すればいい？

退職金がない会社の場合でも、老後資金は自力で計画的に準備できます。

iDeCo（個人型確定拠出年金）やNISAなどの制度を利用すれば、税制メリットを活かして効率的に資産形成が可能です。

毎月2〜3万円を積み立てるだけでも、20〜30年後には数百万円以上の資金を作れる可能性があります。

退職金がない＝将来が不安と捉えるのではなく、自分で備える行動を早めに始めることが安心につながります。

退職金がない会社でも自分にとって良い選択肢はある

退職金がない会社でも自分にとって良い選択肢はあります。

退職金制度の有無は、企業選びにおける一つの要素にすぎません。

自分が納得して働ける環境かどうか、将来のビジョンにマッチしているかが重要です。

退職金はないけれど、スキルが磨けて年収アップも可能といった企業で働いた結果、長期的に満足度の高いキャリアを築く人もいます。

制度にこだわりすぎず、自分の価値観とライフプランに合った選択をすることが、後悔しない転職につながります。